日本人の心『精進料理』の知恵

「精進料理」とは、禅宗の教えのもとに、鎌倉時代に中国から日本へ伝えられたと言われています。一汁一菜が基本で、食べることは勿論、食事を作ることも修行のうちとされる禅宗の僧呂の知恵がたくさん詰まった料理です。
栄養を十分に考えた、滋養や薬効にも優れた食材が多く使われた自然の恵みを生かした「食」なのです。

精進料理

ベジタリアンや、ヴィーガンが多くいる欧米、また政治的にも問題視されている肥満問題のある欧米ではこの「精進料理」は大きく注目されています。

■『精進料理』で使用される食材

精進料理は自然の恵みをふんだんに使った「食」です。
大地の成分を多く含んだ旬の野菜、野草、山菜、そして、海から滋養がたくさん詰まった色々な海藻類など。タンパク質は動物性のものではなく、植物性のもの豆腐や湯葉などの大豆製品からとります。これらは消化に良く、胃腸への負担も少なく、”胃もたれ”などという症状も軽減されます。夏疲れの出るこの時期、健康を取り戻すには最適の食事方法でもあります。

また、食材は捨てるところなく、実、茎、葉、皮まで全部使うことも特徴のひとつです。バランスのとれた、栄養価の高い「食」なのです。

■ 『精進料理』は五感で味わう

ルーツが”僧呂” ”修行”と言っても「耐える食」ではなく、食事として「満足」のできる知恵も十分に考えられています。

精進料理には 「5つの心得」 味、調理、盛付に約束があります。

*五味 <味>

素材を生かすための少量の調味料
砂糖・醤油・酢・塩・辛味・
を使用

*五法 <調理>

焼く・煮る・揚げる・蒸す・生 で食す

*五色 <盛付>

赤・青(又は緑)・白・黄・黒 

以上の約束からバランスのとれた美味しい料理が出来上がるのです。これらはいわゆる日本食のルーツでもありますね。

精進料理とは「食」ではありますが、場所<癒し>・色彩<美> にも非常にこだわりがあります。体の内側から美を考え、また目で美を楽しみむものでもあり、人間の「美」に必要な5感を十分に刺激できるものでもあります。